高尿酸血症（痛風）

血液中の尿酸の濃度（尿酸値）が高いと判定されると高尿酸血症と診断されます。血液検査によって発症の有無はわかるようになりますが、具体的な数値は血清尿酸値が7.0mg/dL以上の場合としています。

そもそも尿酸というのは、水に溶けにくい性質で、高尿酸血症の状態になると結晶化するようになります。この状態を尿酸塩といい、血液中に存在するようになって、関節に溜まることがあります。これを異物と認識した白血球が排除しようと攻撃することで、患部が炎症を引き起こし、激痛に見舞われることがあります。これを痛風発作（一般的には痛風）といいます。発症後24時間が同発作のピークで、1週間が経過する頃には何もなかったかのように治まりますが、尿酸値を下げる等の治療をしなければ再発するリスクは高いです。

ちなみに高尿酸血症の患者様であっても痛風発作がみられないこともあります。ただ何の症状がなくても尿酸値の高い状態が続けば、慢性腎臓病、尿路結石、痛風結節のほか、動脈硬化を促進させることによる、脳血管障害（脳梗塞 等）、心疾患（心筋梗塞 等）などの合併症を発症するリスクも上昇するようになります。

なお尿酸が増える原因は主に3つあるとしています。ひとつは、尿酸が体内で必要以上に産生されてしまうタイプ（尿酸産生過剰型）です。これは、尿酸の元となるプリン体を多く含む食品（煮干し、レバー、カツオ、大正エビ 等）やアルコール（ビール）の過剰摂取をはじめ、先天的な代謝異常、白血病等の造血器疾患などが挙げられます。2つ目は、尿酸が体外に排泄しにくいことで発症するタイプ（尿酸排泄低下型）です。これは、脱水症状、利尿薬の使用等による薬剤の影響、腎機能の低下、尿崩症などによって引き起こされます。最後は、上記2つのタイプ（尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型）が合わさった混合型です。

まずは生活習慣を見直してみましょう。尿酸値を上昇させるプリン体を多く含む食品やアルコールは控え、さらに栄養バランスの良い食事、水分（水やお茶）を十分に摂取し、尿酸を体外へ排出させやすくしましょう。さらに運動療法として、息がやや上がる程度の有酸素運動（ウォーキング、軽度なジョギング、水泳、自転車 等）を1日30分以上行うようにするとよいです（できるだけ毎日実践するようにしてください）。

なお、何度も痛風発作がみられている、痛風結節の症状がある、これといった症状がなくても血清尿酸値が9.0mg/dL以上あるという場合は、薬物療法も検討します。患者様の高尿酸血症の状態によって、尿酸の産生を抑制する薬（アロプリノール 等）、あるいは尿酸の排泄を促進させる薬（ベンズブロマロン 等）が使われます。

痛風発作が起きている場合は上記の薬物療法は行いません。この場合は、主に非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）を使用します。なお尿酸値を下げる効果のある薬は、症状が治まってから使用します。